温泉で起きる「湯あたり」には要注意!症状や原因を知って適切に対処しよう
目次
よくあるご質問
出典:写真AC
温泉に浸かるときの注意事項やよくある質問をまとめてみました。温泉に行く予定のある方は参考にしてください。
Q1温泉に浸からない方がいいのはどんな時?
次の症状に該当する方は、温泉に浸かると体調が悪化する可能性があるので、入浴は控えた方がよいでしょう。
<発熱を伴う病気>
熱で体力が落ちたときに温泉に浸かると、かえって症状が悪化する恐れがあります。
<結核やがん、重度の貧血で身体が弱っているとき>
結核やがんの治療中、重度の貧血などで身体が弱っているときは、温泉に入浴すると脱水症状や血栓症を引き起こす危険があります。
<心臓や肺、腎臓病などの重い病気>
少し動くだけで息切れするような重い病気にかかっているときも、水圧が身体の負担となるので温泉入浴は厳禁です。
<出血しているとき>
ケガや切り傷による出血、胃や腸など消化器官の病気による吐血、血便などの症状が確認されたときの温泉入浴は、血液を介した感染症の危険があります。
Q2乾燥肌なのですが、避けた方がよい泉質はありますか?
乾燥肌の方や皮膚性乾燥症を患う高齢者の方は、肌への刺激が強い酸性泉や硫黄泉の温泉に浸かるのは避けた方がよいでしょう。
酸性泉と硫黄泉はどちらも殺菌力が高い温泉なので、アトピー性皮膚炎など皮膚病への効用が期待できる療養泉として知られています。しかし、皮膚の弱い方が浸かると、入浴後に皮膚が赤くなったり、かゆみや痛みが出てしまったりするなど湯ただれを起こす可能性があります。
乾燥で肌にカサツキを感じる方や、皮膚乾燥症を患う高齢者の方は、入浴前に温泉施設の公式ホームページや脱衣場の注意事項で泉質を確認しておきましょう。
Q3温泉を利用する際の注意点にはどのようなことがありますか?
<食事の直前直後や飲酒後は控える>
温泉で身体が温まると内蔵の働きが低下し、消化不良を起こしやすくなるので、食前食後すぐの入浴は避けた方がよいでしょう。酔いで足元がふらつきやすい飲酒後の入浴も転倒などによる大けがの原因となるので、おすすめできません。
<高齢者や子どもを1人で入浴させない>
浴室や浴槽は滑りやすいので事故やケガを防ぐためにも、高齢者や子どもを入浴させるときは同伴するようにしてください。
<入浴前後の水分補給>
入浴後の脱水症状を防ぐために、入浴前後にコップ1杯程度の水や麦茶などを飲むようにしましょう。
<かけ湯は手足から>
急激な血圧上昇を避けるためにも、入浴前のかけ湯は、手足からはじめて徐々に全身を洗い流します。
<湯温や入り方>
お湯に身体を慣らすために、3~10分の入浴を1~2回行います。お湯の熱さに身体が慣れてきたら、15~20分の入浴を2~3回繰り返します。高血圧や心臓病など持病のある方の場合、42℃以上の高温浴は身体に負担がかかるため、おすすめできません。
<ふき取り方>
身体についた温泉成分をお湯で洗い流すと効用が薄れてしまうので、入浴後はタオルでふき取るようにしましょう。
Q4温泉には禁忌症がつきものですが、そもそも禁忌症とは?
禁忌症とは温泉入浴や温泉水の飲用によって、体調に悪影響を及ぼす症状や病気のことです。温泉の禁忌症は、大きく3種類あります。
<温泉の一般的な禁忌症>
以下の症状を持つ方は、温泉に浸かるのは控えた方がよいでしょう。
・発熱を伴う病気
・結核やガン、重度の貧血で身体が弱っているとき
・心臓や肺、腎臓病などの重い病気
・出血しているとき
<泉質別禁忌症>
乾燥肌の方や皮膚乾燥症の高齢者の方が、酸性泉や硫黄泉に入浴すると、湯ただれが起きたり、症状が悪化したりする恐れがあります。
<含有成分別禁忌症>
腎不全、心不全、肝硬変、高血圧など塩分やカリウムの摂取制限が必要な持病を持つ方は注意しましょう。許容量以上の温泉水を飲用すると、病状に悪影響を及ぼします。
Q5温泉情報を見ている際に、よく「好転反応」という言葉を見かけます。どのようなものですか?
<好転反応とは>
好転反応とは、温泉療養など自然療法を受けた後、快方に向かう過程で一時的な体調不良に陥ることをいいます。
漢方の世界では、好転反応と似た症状を「瞑弦(めいげん)」と呼びます。瞑弦とは、漢方薬を飲み始めてから一時的に体調が悪化するものの、結果として病気が改善することです。
好転反応や瞑弦は、病気と似た症状が現れます。温泉に入浴し、数日から1週間後に体調が悪くなったときは、1日温泉に浸かるのを休んでみてください。
症状が改善すれば、好転反応と考えてよいでしょう。数日たっても身体の不調が続くときは、医師に相談してみてください。
<主な症状>
好転反応の症状は人それぞれなので、一概にどれと明言できるものではありません。
倦怠感やだるさ、強烈な眠気、発熱など全体的な不調を感じる方もいれば、便秘や下痢、吐き気など消化器系器官の調子が悪くなる方もいます。
腰痛やリウマチ、ヘルニアなど慢性的な疾患は入浴後、患部に痛みを感じたり、熱を持ったりするケースも珍しくありません。吹き出物やかゆみなど皮膚に症状が現れる場合もあります。
<どうして起こる?好転反応のしくみ>
好転反応は、症状が表れてから4つのステップを経て、体調が回復していきます。体内に起こる変化や、確認できる症状は以下のとおりです。
・第一段階:弛緩反応
不調であった部位や臓器が、本来の機能を取り戻す際に表れる症状です。機能修復のため自律神経などが乱れ、だるさや眠気、倦怠感などに襲われます。
・第二段階:過敏反応
慢性的に不調だった部位や臓器が回復する過程で、身体が一時的に急性期へと変化します。急性期とは、病気のかかり始めに痛みや身体の不調を感じる時期のことです。
人により複数の部位や臓器が不調となるケースも珍しくありません。そのような場合、最も調子の悪い部位や臓器が過敏に反応して、下痢や便秘、痛み、腫れ、発汗などの症状が表れます。
・第三段階:排泄反応
細胞の活性化による解毒作用で、身体にたまっていた老廃物や毒素などが排出されます。吹き出物や発疹、目やに、尿の色の変化など、目に見える症状が現れたら排泄反応と考えてよいでしょう。
・第四段階:回復反応
血行が良くなったことによる浄化作用です。新陳代謝が上がり、不調であった部位や臓器が正常な状態へと戻ります。発熱や吐き気、腹痛、倦怠感などが表れますが、徐々に体調は回復していきます。
参考:日本薬学会 | 薬学用語解説
製鉄記念八幡病院|「急性期」ってどういう意味ですか?
霧島温泉郷「霧島国際ホテル」| 温泉入浴なるほど話 湯あたり①
あねがわ温泉|陶板浴|好転反応の種類と段階