温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#5 鷺の湯温泉-さぎの湯荘-


お宿についてのこだわりなどはありますか?

提供:さぎの湯荘

◆田辺さん:お宿でゆったりと寛いでいただけるよう心がけています。例えば、敷地の約1/3に庭園を設け、その庭園を美しく眺めていただけるようなお部屋の作りになっています。

庭園は、大名庭園とされていた出雲地方を形成する風土をイメージした「出雲式庭園」の他、枯山水の様式のお庭もあります。

提供:さぎの湯荘

宿全体としても、ゆとりある空間で、私たちが田舎時間と呼んでいるゆっくり流れる時間を堪能していただきたいと考えています。

また本館の離れに別邸として、出雲大社付近の古民家と蔵を移築して、古民家をラウンジに、蔵を客室としてご提供しています。

提供:さぎの湯荘「別邸 鷺泉(ROSEN) 外観」

提供:さぎの湯荘「別邸 鷺泉(ROSEN) 内観」

離れの別邸(2室)と客室露天風呂付きの客室(本館に3室)は、お庭を眺めるお部屋となっています。

提供:さぎの湯荘「離れ蔵一棟」

◇編集部:バリアフリーの対応などはございますか?

◆田辺さん:ご要望があれば和室の段差にスロープを配置し、寝具もベッドをご用意するよう対応しています。お食事も、車椅子で利用できるお食事処やテーブル席の準備がございます。

お食事についてですが、特別こだわりがあるとお伺いしました。

◆田辺さん:さぎの湯荘は、代々当主が料理人を務める慣わしとなっています。私もそれに倣って大阪で7年ほど修行してまいりました。

いまでも専門の料理人と一緒に、地産地消の食材と季節の食材をとりいれた献立を自ら考案して料理に腕をふるっています。

提供:さぎの湯荘「カニづくし会席プラン」

提供:さぎの湯荘「しまね和牛会席プラン」

◇編集部:周辺には日本海で採れる海の幸や山の幸が沢山ありそうですね。

◆田辺さん:山陰の味覚を代表する松葉蟹や白いか、島根和牛、のどぐろ、宍道湖(しんじこ)のしじみなど、恵まれた食材を活かして、煌びやかさや奇を衒う(てらう)ような見栄えではなく、地産の特産品で美味しい料理をご提供することを心がけています。

提供:さぎの湯荘「日本海の幸プラン のど黒の田舎風煮つけ」

◇編集部:どじょう掬い踊りでの安来節発祥の地だけに、どじょうも特産品ですよね。

◆田辺さん:はい、安来のどじょうは他に比べても柔らかくいただけると好評で、浅草の有名などじょう料理専門店にも出荷されています。

提供:さぎの湯荘「どじょう料理」

◇編集部:現地で産地ならではの新鮮などじょうを味わってみたいですね。

◆田辺さん:その他にも、冬場にご提供しているぼたん鍋は、天然物なので脂の質が良く胃もたれしません。通常は臭みをとるために味噌鍋で食しますが、当館では猟師を指定し、処理をきちんと行ったうえで調理を行うため、臭みなくいただけるので、水炊きにてご提供しています。

水炊きのぼたん鍋は、他ではなかなか味わえない料理なので、この味を求めてくるリピーターが多くいらっしゃいます。

提供:さぎの湯荘「ボタン鍋」

◇編集部:ぜひ一度味わってみたいですね

温泉までのアクセスについてお伺いできますでしょうか。

◆田辺さん:関西圏からは車で来られる方が多いですね。関東圏他の遠方からとなると飛行機をご利用する方もいらっしゃいます。

飛行機や電車でお越しいただく場合は、JR安来駅から温泉地までの無料シャトルバスを利用いただけるので、全国各地からお越しいただいています。

また鷺の湯温泉には、日本庭園が有名な足立美術館があるのですが、そこを目当てに海外から来られる方もいらっしゃいます。

◇編集部:足立美術館は、長年にわたりアメリカの日本庭園専門誌で日本庭園ランキング1位に選ばれている美術館ですよね。雄大な庭園は毎日細部まで手入れが行われ、どこをみても絵画のような景観が広がっていると伺ったことがあります。ぜひ一度訪れてみたいものです。

足立美術館の他にもおすすめのスポットがあれば教えていただけますでしょうか。

◆田辺さん:徒歩圏でいいますと安来節演芸館があります。

車を使えば、月山富田(がっさんとだ)城址、清水寺(きよみずでら)、松江城といった史跡もあります。また、出雲大社も1時間半ほどのところなので、おすすめです。

他にも観光名所として、堺港や大山(だいせん)、西に石見銀山(いわみぎんざん)東に鳥取砂丘があります。

◇編集部:気になるスポットばかりですが、お話を拝聴しないと読めない地名が沢山ありますね。

◆田辺さん:出雲地方は難読漢字が多いですね。(笑)