「地獄谷野猿公苑」でニホンザルの温泉に浸かる姿を見に行こう


提供:地獄谷野猿公苑
更新日:2021年6月17日

古来、長野県の北部では、ニホンザルの群れが大自然の中で穏やかに暮らしていました。その生態を間近で見られる場所が「地獄谷野猿公苑(じごくだにやえんこうえん)」です。
じゃれあう子ザル、仲睦まじく寄り添う大人のサル、豊かな表情にドキドキワクワクします。来苑を通じて、ニホンザルの新たな魅力に気づかされるでしょう。
そこで今回、地獄谷野猿公苑で観察に必要な情報をまとめたほか、公苑近くで気軽に立ち寄れる温泉をご紹介します。日帰り旅行を検討されている方や温泉旅行が好きな方必見です。

地獄谷野猿公苑の基本情報

地獄谷野猿公苑へのアクセス・営業時間・服装など

提供:地獄谷野猿公苑

1964年に開苑した地獄谷野猿公苑は、長野県の北部、横湯川の沿岸に位置しています。大自然の息吹を存分に感じられるロケーションに、思わず息を呑んでしまうほどの迫力です。

近隣の渋(しぶ)温泉から地獄谷駐車場(有料)までは、横湯川沿いに道路が整備されていて車で約8分です。有料駐車場からは、歩いて約15分の場所に地獄谷野猿公苑があります。

ただし、冬場はこちらのルートが封鎖されています。渋温泉から6分ほど車を運転し、上林温泉の無料駐車場を利用しましょう。

上林温泉からは地獄谷野猿公苑へと続く遊歩道が2キロほど延びています。その道のりは、坂や階段があるものの、歩いて約30分で地獄谷野猿公苑へ到着します。

提供:地獄谷野猿公苑

地獄谷は長野県北部、積雪量の多い地域となります。12月~3月の冬期間、遊歩道は雪で覆われます。定期的に除雪はしていますが、常にアイスバーンのように道が凍結しているので、注意が必要です。

スノトレ・スノーブーツ等の冬用の履物をご用意ください。簡易型アイゼン・スパイク等の滑り止めの着用をオススメします。-10℃を下回る程、冷え込みが厳しくなるので防寒対策を忘れないようにしてください。

住所:長野県下高井郡山ノ内町大字平穏6845
電話番号:0269-33-4379
営業時間
夏季:4月頃~10月頃 8:30頃〜17:00頃
冬季:11月頃~3月頃 9:00頃〜16:00頃
定休日:なし
料金:
大人(18歳以上)
一般800円/団体(20人以上)680円/年間パス5,000円
こども(小学生~高校生)
一般400円/団体(20人以上)340円/年間パス2,500円
公式サイト: https://jigokudani-yaenkoen.co.jp/

地獄谷野猿公苑の魅力

苑内は、ニホンザルと人間を遮る柵がありません。自然に近い形で生活する姿を心ゆくまで観察できることが地獄谷野猿公苑の魅力です。

サルが温泉に浸かる光景は、1970年代にアメリカのグラフ雑誌の表紙を飾って以降、世界的に有名になりました。そのため国内の旅行者だけでなく、海外から遠路はるばる訪れる写真家や研究者も大勢います。

誰でも間近でサルを見られる環境だからこそ、来苑時は注意事項を守らなければなりません。サルにストレスを与える行為は控えましょう。

地獄谷野猿公苑の見どころ

温泉に浸かるニホンザルを見ることができる

提供:地獄谷野猿公苑

標高およそ850メートルの山間部に位置する地獄谷は、気候環境が厳しいエリアです。なんと1年のうち約4か月が雪に覆われています。「温泉に浸かる」という行為は、寒さをしのぐためにニホンザルが覚えた知恵なのです。

気温が−10℃を下回る厳寒期、苑内に整備された露天風呂では、沢山のサルが湯に浸かっています。気持ち良さそうにしている光景は、とても可愛らしく来苑者を和ませてくれるでしょう。

提供:地獄谷野猿公苑

温泉に入る姿が印象的ですが、サルたちは元来濡れる事を好みません。温泉に入る姿はあくまで「サルたちの生活の一部」にしか過ぎないのです。

苑内のサルたちは、ヒトに関心が無いので、サルたち側から危害を加えてくる事はありません。「サルたちの生態を、その息遣いを感じる程近くで、安全に観察する事ができる」事が公苑の本来の魅力です。

公苑で設けられたルールを守り、1m程距離を保って観察を楽しみましょう。

提供:地獄谷野猿公苑

苑内では約160頭のサルたちを観察する事ができます。檻等はありませんが、サルたちから危害を加えてくることはなく、安全に観察する事ができます。

但し、一定の距離を保つことを忘れないようにしましょう。近づきすぎるとサルたちは驚き、怒ってしまいます。常に1mくらい離れて観察してください

注意したいのは、苑内では自撮り棒の使用は許可されていないことです。自撮り棒がニホンザルに恐怖心を与える原因となるためからで、観察を第一に考え、苑内を巡ってください。

ニホンザルの生態を間近で観察できる

提供:地獄谷野猿公苑

地獄谷野猿公苑では、季節の変化とニホンザルの嗜好に合わせて餌付けをしています。

エサは公苑のスタッフが与えていますが、お客さん側から与える事は出来ません。不特定の人物からエサを与えられると、エサをねだるようになり、「危険なサル」となってしまいます。餌付けは絶対にしないでください。

また、そういった関係から公苑内に食べ物の持ち込みも出来ません。気を付けましょう。

SNS上では「野猿公苑でカメラを構えたら時間がいくらあっても足りません」といった、時間を忘れるほど夢中になれたという来苑者の声が多く見られます。苑内ではあっという間に時間が過ぎてしまうことでしょう。

大自然と野生のニホンザルや動物たちを間近に感じられる

提供:地獄谷野猿公苑

地獄谷野猿公苑の一帯は、人里から離れた山奥です。傾斜が急で険しい場所が多いため、簡単に人間が寄り付くことはできません。厳しい自然の中、多種多様な動植物が逞しく生息しています。

提供:地獄谷野猿公苑

地獄谷野猿公苑では、観察できるニホンザルの他にも野生動物が生息しています。近隣に生息するニホンカモシカは、時折公苑や遊歩道に現れます。

運が良ければ観察する事ができるかもしれません。但し、遭遇の際は離れて相手(動物)を刺激しないよう注意しましょう。

提供:地獄谷野猿公苑

また、四季折々に移り変わる原風景の鑑賞も醍醐味の1つです。春はフクジュソウやヤマアジサイが咲き誇り、夏は緑が生い茂る中ミヤマカラスアゲハが飛んでいます。秋になれば赤トンボと紅葉が渓谷を彩り、冬は勇壮な雪景色が一面に広がります。大自然の恵みによって、命の洗濯ができるでしょう。

ニホンザル観察のポイント

双眼鏡があると便利

地獄谷野猿公苑内のニホンザルは、野性動物です。視線を合わせて近寄ろうとする人間に対し、ストレスを感じる可能性があります。

サルたちから積極的に攻撃を仕掛けてくるような事はありませんが、サルたちはペットやヒトの友達ではありません。必要以上に近づいたり、騒いだりして驚かせるような事をすれば「反撃」として攻撃してくる事もあります。触らない・騒がない・1m距離を保つ…というルールを守りましょう。

来苑したときにはサルの気持ちに寄り添い、観察しましょう。ただ眺めるだけではもったいないので、一頭一頭に着目してみてください。

人間と同様、ニホンザルも皆、異なる特徴を持っています。双眼鏡があると遠方のサルの仕草も観察する事が出来るのでオススメです。それぞれの違いに気づいた時、さらに観察が面白くなるはずです。

ニホンザルの社会を知っておく

通常ニホンザルは、群れで移動しながら生活しています。「群れ」と言っても、力による主従関係はありません。おとなのオスとメス、その子どもたちが絆を深め、互いに助け合っています。

ニホンザルの社会は多くのオトナメスとそのコドモで形成され、オトナのオスは全体の2割~3割程です。オスたちは成長すると群れから出て行き、単独で生活するようになります。ずっと同じ群れの中にいると遺伝子が濃くなる為それを避ける為と言われますが、ハッキリしていません。少なくとも「ケンカで負けたから」とか「下位でいる事に嫌気がさして」といった悲しいストーリーが背景にある訳ではなく、あくまで「本人の自由」で群れから出て行きます。ボスという存在が群から出て行く。すると2番目だったサルが自然と順位が来る上がる…という具合にサルたちの順位は変わり、いわゆる「ボス争い」という戦いはありません。

提供:地獄谷野猿公苑

ニホンザルには「夫婦」という関係は存在しません。したがってサルたちの世界に「親」は母親しかいません。メスは大変な子育てに追われますが、家族や仲間同士で助け合いながら、過酷な野生の生活を生きています。

提供:地獄谷野猿公苑

提供:地獄谷野猿公苑

また、ニホンザルの社会では視覚によるコミュニケーションが欠かせません。人間と同様、常に場の空気を読んでいます。威嚇や悲鳴で相手の注意を引いたりするものの、態度で意志を伝えるケースが一般的です。

この豆知識を頭に入れておけば、行動の真意に想いをはせつつ、観察を楽しめるでしょう。