奈良時代に開湯!数々の歴史的人物によって広まった箱根温泉の軌跡
神奈川県にある「箱根(はこね)温泉」は、年初めに箱根駅伝が行われることでも有名な温泉地です。そんな箱根温泉はどのようにして、全国的に広く知られるようになったのでしょうか。箱根温泉の開湯や数々の歴史的人物たちとの関係について、その歴史を見ていきましょう。
目次
1200年もの歴史を誇る箱根温泉
箱根火山によって30万年以上もの年月をかけてできたと言われている箱根温泉は、奈良時代に開湯されたとされ、多くの文献や資料などによって記録が残されています。
泰澄大師の弟子である「浄定坊」によって開湯された
箱根温泉の開湯は、奈良時代にさかのぼり、738年頃と言われています。
箱根温泉の源泉は、泰澄(たいちょう)大師の弟子である「浄定坊(じょうじょうぼう)」によって発見された「惣湯(そうゆ)」と言われる自然湧出型の源泉です。
また、箱根温泉にある7つの源泉を総称した箱根七湯(はこねしちとう)発祥の源泉は、箱根最古で現役の自然湧出源泉とも言われています。
箱根温泉の「箱根」にはどんな由来が?
箱根の由来は、一つではなくさまざまな説が存在しています。
一説には、ハコは「神仙」、そしてネは「山」という意味があると言われており、ハコネとは神の住む山であると言い伝えられていたことから由来しているとされています。
箱根の歴史は、とても古いことからまだまだ解明されていない謎が多いため、正しい解釈がされていないとも言われています。
七湯全てが「温泉番付」に記載される名湯
箱根には、代表的な七つの湯があります。
湯本(ゆもと)・塔之沢(とうのさわ)・堂ヶ島(どうがしま)・宮ノ下(みやのした)・底倉(そこくら)・木賀(きが)・芦之湯(あしのゆ)の七湯は、全て「温泉番付」に記載される名湯としても有名です。
温泉番付とは、温泉地を大相撲の番付のように見立てて格付けしたものであり、東と西で分けて作られています。
箱根温泉にある七湯全てが東を代表する温泉であり、江戸時代より「箱根七湯」としても親しまれています。
誰もが知るあの有名人との関係も?数々の歴史上人物が関係する箱根温泉
箱根温泉は、誰もが知る歴史上の人物と深い関係がある温泉地と言われています。
その歴史上の人物とはいったい誰なのか、そしてどのような関係があるのかを紐解いていきましょう。
箱根温泉は豊臣秀吉によって広まった温泉地
箱根温泉が世に知られるきっかけとなったのは、天下統一を果たした豊臣秀吉とも伝えられています。
秀吉は、小田原征伐のため全国の武士を集めて長期滞陣していたようです。その際、心を落ち着かせるために箱根の湯で身体を癒したと言われています。
また江戸時代に入ると歴代の徳川将軍やその妻も訪れるなど、徳川家のゆかりの地でもあります。
箱根温泉が発展を遂げた裏には「福沢諭吉」の力あり
泰澄大師をはじめ、弘法大師、松尾芭蕉、伊藤博文など多くの歴史的人物著名人が訪れた箱根温泉は、福沢諭吉によってさらに発展を遂げた温泉地です。
箱根温泉は人気の高い温泉地でありながらも、アクセスがしにくい場所でもありました。
そこに福沢諭吉は注目し、足柄新聞に提言書を送ったことをきっかけにインフラ整備が行われたと言われています。
提言書には、湯屋仲間たちが目先の利益にとらわれ、時代を見通せない閉鎖性を叱責することが書かれていたようです。
福沢諭吉は、今インフラ整備に投資をしておかないと、今後箱根温泉はさびれていくだろうと未来を見据えていました。
1877年(明治10年)箱根温泉は国際観光地へと開拓
福沢諭吉は、箱根のインフラ整備の助言をしただけでなく、箱根温泉を国際的な観光地へと開拓したことで知られています。
その一つとして箱根の老舗ホテルである「富士屋ホテル」は、外国人向けの宿として開業したホテルです。創業者である山口仙之助氏は、福沢諭吉からの強い説得により、国際的なホテルを建てたと言われています。
1885年(明治18年)頃から国道や箱根登山鉄道が誕生
インフラ整備が進んだ事により、 1885年年(明治18年)頃には小田原~湯本までの新道が開通、そして1887年(明治20年)には宮ノ下まで開通が進みました。1904年(明治37年)には芦之湯~芦川まで開通され、国道一号線が誕生しています。
また国道だけでなく箱根登山鉄道も誕生したことにより、さらに利便性の良い温泉地へと変貌を遂げることになりました。
多くの文豪が筆を走らせた土地としても有名
箱根温泉は、夏目漱石をはじめ、森鴎外や川端康成、島崎藤村、宮沢賢治、正岡子規など、教科書にも載る著名人たちが訪れ、筆を走らせたと言われています。
また作品の中には、その時に見た景色や感じたことなどが記されているものも数多くあります。文豪たちのお気に入りの宿を訪れてみるのもおすすめです。
箱根温泉は歴史的建造物の宝庫!歴史を辿る3つのスポット
箱根温泉には、さまざまな歴史的建造物があります。箱根温泉の歴史を知る上で、訪れるべきスポットをご紹介します。
パワースポットとしても有名な「箱根神社」
箱根神社は、奈良朝の初期(757年)に箱根大神の御神託をうけた万巻上人(まんがんしょうにん)が、勅願によって創建した神社です。
近世になり、箱根路が開通したことをきっかけに多くの旅人が立ち寄り、道中の安全を祈る場所として知られました。現在は、パワースポットとしても有名な神社で開運厄除などの御信徳で知られ、たくさんの方がお参りに訪れています。
提供:箱根神社
また箱根神社周辺からは、芦ノ湖や富士山、湖に浮かぶ「平和の鳥居」を眺めることができる絶景スポットのひとつでもあります。
提供:箱根神社
<施設情報>
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根80−1
・電話番号: 0460-83-7123
・営業時間:7:00~17:00(駐車場)、8:30~17:00(御守所)
江戸時代が再現された「箱根関所」
「箱根関所」は、東海道を行き来する人や物を監視する施設として、江戸時代まで続いた歴史的なスポットのひとつで、幕府が倒れるとともに廃止となりました。
そんな多くの人が行き来した箱根の関所は、現在復元されており訪れることができます。
資料館も併設されているので、関所の役割や関所の変遷などを学ぶことができます。
<施設情報>
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町箱根1
・電話番号:0460-83-6635
・営業時間: 9:00~17:00 冬季(12月1日~2月末日)9:00~16:30
ハイキングスポットとしても人気の高い「箱根旧街道石畳」
旧東海道の一部である「箱根旧街道石畳」 は、徳川幕府によって江戸の初期に整備されました。現在は国の指定文化財となっています。
なお、箱根旧街道石畳はハイキングコースとして辿ることができます。途中には江戸時代から続く老舗の茶屋もあり、当時の雰囲気を体感することができます。
<施設情報>
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根・畑宿
・電話番号:0460-85-5700