温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#第20回 山代温泉-あらや滔々庵-
目次
山代温泉の開湯とともに歩んできた古い歴史を持つ「あらや滔々庵」
提供:あらや滔々庵
◇編集部:お宿の歩みについて教えていただけますか?
◆永井さん:当館は、山代温泉の中でも一番古く、開湯から間もなくの頃からあったそうです。
江戸初期には、当時の館主が湯元を守る湯番頭(ゆばんがしら)として“荒屋源右衛門(あらやげんえもん)”を拝命。
そのことにより、屋号を”あらや”に改め、以来、私で十八代目となります。
◇編集部:山代温泉の開湯とともにあゆみはじめ、山代温泉の湯を守られてきた歴史があるのですね。
加賀・前田家をはじめ文人墨客にも愛された宿
◇らく湯旅:美食家としても有名な芸術家の北大路魯山人にもゆかりがあると伺いました。
◆永井さん:大正4年頃、魯山人が一時期、山代温泉で過ごしており、その際、当館の15代館主と親しく交流していたようです。
◇編集部:それはすごいですね。
提供:あらや滔々庵(北大路魯山人作のあらや滔々庵の看板)
◆永井さん:あらや滔々庵の看板も魯山人の作品のひとつです。
そのほか、書や絵画、陶芸など、多くの作品が当館には残っています。
提供:あらや滔々庵(北大路魯山人作の陶芸作品のひとつ)
提供:あらや滔々庵(北大路魯山人作の陶芸作品のひとつ)
提供:あらや滔々庵(北大路魯山人作の陶芸作品のひとつ)
◆永井さん:この他にも、お越しいただくお客様にゆかりの作品をお楽しみいただけるよう、館内の様々な箇所に展示しております。
◇編集部:ゆっくりと過ごせるだけでなく、伝統芸術にも触れながら過ごせる時間は格別ですね。
ゆったりと時を楽しめる空間づくりを徹底
提供:あらや滔々庵(畳敷のホール)
◇編集部:お宿のつくりについてお伺いできますでしょうか。
◆永井さん:当館は、館内のほとんどの場所を畳敷としています。
廊下、エレベーターの中、温泉の脱衣所なども畳敷となっていますので、ご滞在中は靴下を履かず、素足でゆったりとお寛ぎいただけます。
提供:あらや滔々庵(畳敷の廊下)
◆永井さん:客室は、露天風呂付きの和洋室から、数寄屋風、そして魯山人が逗留したお部屋を移築した特別室「御陣の間」など全17室をご用意しております。
提供:あらや滔々庵(特別室「御陣の間」)
◇編集部:特別室は、漆が施された柱と加賀ならではの美しい朱壁で、文人墨客に愛された理由がわかりますね。
◆永井さん:四季折々の風情とともに閑静なひと時をお過ごしいただけます。
また、現在、改築を進めているお部屋「有栖川山荘」もございます。
こちらは、2022年夏頃にご利用いただける予定です。
提供:あらや滔々庵(客室として改装を進める有栖川山荘)
◆永井さん:明治時代、皇族方が山代に逗留された折に使われるために建てられたお部屋で、離れの客室としてご利用いただけるようになります。
◇編集部:特別室とはまた違った、気品な香り漂うお部屋ですね。
良質な源泉が滔々とふんだんに湧く温泉
提供:あらや滔々庵(大浴場「瑠璃光(るりこう)」)
◇編集部:次に温泉についてのこだわりなどをお伺いします。
◆永井さん:当館の源泉は、わずか30メートル程度の地下から、高温の温泉が湧く珍しい温泉です。無色透明で匂いもほとんどなくクセもありません。
1日に約10万リットルの豊富な湯量が滔々と豊富に湧いていますので、温泉はすべて源泉かけ流しとなっています。
温泉通と言われるような目の肥えたお客様にも高く評価いただいています。
◇編集部:それだけ素晴らしい温泉ということですね。
提供:あらや滔々庵(特別浴場「烏湯(からすゆ)」)
提供:あらや滔々庵(大浴場「原泉閣(げんせんかく)」)
◆永井さん:当館では3つの大浴場をご用意しています。
それぞれ趣の異なる浴場となっており、思う存分ご満喫いただけるように趣向を凝らした作りにしています。
◇編集部:神秘的のような烏湯、ぜひ入ってみたいです。
◆永井さん:温泉は入浴だけでなく、飲泉もできるようになっています。
飲泉で一番喜ばれるのが、二日酔いに良いという点です。
常連のお客様などはペットボトルに入れてお持ち帰りになりますよ。
◇編集部:二日酔いに良いとわかれば、お酒も進んでしまいますね。