温泉経営者がおすすめする一度は泊まりたい温泉宿#19 有馬温泉-有馬山叢 御所別墅-
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かっきー
江戸の玄関口と言われた宿場町に生まれ育った生粋の江戸っ子。還暦を迎えた今なお、旅とサーフィンをこよなく愛するアクティブシニア。某夕刊紙に勤務していた経歴を持つ。
マイナーな温泉から秘湯まで、気の向くままに温泉へ出かけることが大好きです。温泉の良さはもちろん、分かりやすく温泉や旅館などの良さをお伝えしてまいります。
目的やテーマは人それぞれですが、日常の喧騒から離れ、ゆっくりとした時間を過ごしたいと温泉旅行へ出かけようと考える方も多いのではないでしょうか。
本企画では、温泉経営者がプロ目線で選んだ「一度は泊まりたい温泉宿」をリレー形式でご紹介してお届けしてまいります。
目次
第19回目は兵庫県神戸市の有馬温泉にある「有馬山叢 御所別墅」
提供:有馬山叢 御所別墅
提供:有馬山叢 御所別墅
第19回となる今回は、前回インタビューさせていただいた山口県の「油谷湾温泉(ゆやわんおんせん) ホテル楊貴館(きようかん)」の岡藤さんがおすすめする、日本最古の温泉地といわれる兵庫県神戸市の有馬温泉にある「有馬山叢 御所別墅(ありまさんそう ごしょべっしょ)」の経営者にインタビューしました。
有馬温泉は、兵庫県神戸市の六甲山の麓となる北区有馬町に位置し、お洒落なグルメ店やカフェ、情緒ありつつ、賑やかな温泉地です。
有馬山叢 御所別墅は、温泉街から少し離れた場所にあり、周辺は豊かな自然に囲まれています。
有馬の名所にも数えられる清水の紅葉など四季折々の自然の移ろいを感じられ、優雅なひとときを贅沢に過ごせる格式あるお宿です。
伝統と格式あるお宿で新たな取り組みを推進する「有馬山叢 御所別墅・金井 一篤(かない かずしげ)さん」
有馬山叢 御所別墅 ご主人の金井一篤さん
◇らくらく湯旅編集部(以降 編集部):特別企画の第19回は、兵庫県神戸市の有馬温泉にある「有馬山叢 御所別墅」のご主人である金井さんにお話を伺います。お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
◆金井さん:よろしくお願いいたします。
有馬温泉は西洋のエッセンスが融合する日本最古の温泉地
出典:PIXTA(有馬温泉街)
◇編集部:日本三名泉のひとつが湧く、有馬温泉はどのようなところでしょうか?
◆金井さん:この地にある有馬温泉は、日本最古といわれる温泉地であるという点と、さらに日本有数の優れた泉質の温泉が湧出することから、日本の温泉地の中心ともいえるのではないかと考えます。
有馬温泉は、京都や奈良、大阪からも近いことから、古来より時の天皇や将軍などからも愛でられてきた歴史があり、高貴な方々により残された文献が多く存在しています。
6世紀ごろの文献(日本書紀の舒明記)には、舒明天皇(じょめいてんのう)が摂津の国「有馬温湯宮」に立ち寄り入浴を楽しんだという記録が残っていますので、すでにその頃には温泉地として存在していたことになります。
以降、清少納言や豊臣秀吉、与謝野晶子、谷崎潤一郎など、多くの文献や作品にも登場するほか、ゆかりの史跡なども多く残っています。
◇編集部:6世紀からとは、有馬温泉の歴史をお伺いするだけで、膨大な量になってしまいそうですね。
◆金井さん:そうなんです(笑)。
現在の有馬温泉につながる歴史としては、明治時代、外国人居留地が神戸港にあったことをきっかけに、神戸市界隈で大正から昭和初期にかけて阪神間モダニズムというモダンな芸術・文化・生活様式といったムーブメントが誕生しました。
出典:PIXTA(神戸旧居留地・冬のイルミネーション)
◆金井さん:有馬温泉も、このモダニズムの影響を色濃く受けています。
有馬温泉は、そういった背景から日本古来の伝統的な歴史ある部分を残す一方で、西洋のエッセンスを感じる古い洋間が残っていたりと、独特な雰囲気を醸す温泉地となっています。
2006年に有馬温泉初となる新たな空間が誕生
◇編集部:つぎにお宿についてお伺いできますでしょうか?
◆金井さん:当館「有馬山叢 御所別墅」は、12世紀に有馬で創業した旅館となる「御所坊」の流れを汲む「御所三坊」の温泉旅館のひとつです。
有馬山叢 御所別墅としては、2006年、有馬温泉で初めてとなる全室が離れのスイートの宿として運営をはじめました。
この有馬山叢 御所別墅が建つ場所は、古くは清水寺というお寺があり、紅葉の名所として知られていた場所でした。
明治頃には「清水ホテル」として栄えた歴史がある場所です。
提供:有馬山叢 御所別墅