渥美清が見た風景を求めて!「男はつらいよ」で寅さんが訪れた温泉地に想いを馳せる
この記事を書いた人
ともきち
温泉が好きで、年に数回は友人や家族と国内旅行を計画し、色々な温泉地へ出かけています。温泉の中でも、濁り湯の露天風呂が特に好みです。旅先では、有名観光地や絶景スポットをひと通りまわり、地元の名物料理やお菓子の食べ歩きも欠かしません。旅好きならではの視点で、温泉地の情報や温泉にまつわる知識など、魅力あふれる記事をお届けします。
今回は、映画「男はつらいよ」で寅さんが訪れた温泉地をいくつかご紹介します。寅さん役の渥美清(あつみきよし)さんが見た風景、浸かった温泉に思いを馳せながら一読ください。映画のあらすじもご紹介しますので、気になる方はNetflixやHuluでぜひ映画もご覧になってはいかがでしょうか。
目次
「男はつらいよ」とは?
「男はつらいよ」は、渥美清さん主演、山田洋次さん原作・監督(一部作品除く)のテレビドラマおよび映画シリーズです。
テキ屋稼業を生業とする主人公の「フーテンの寅」こと車寅次郎(くるまとらじろう)が、故郷の東京は柴又(しばまた)の帝釈天(たいしゃくてん)と、旅先の日本各地で大騒動を起こす人情喜劇です。
毎回「マドンナ」に惚れながら成就しない切ない恋愛模様も見どころの一つ。昭和43年(1968年)から昭和44年(1969年)に、フジテレビが制作・放送したテレビドラマが始まりで、その後、映画化されました。
映画のシリーズは、松竹のもと昭和44年(1969年)に第1作が公開され、平成7年(1995年)に公開された第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』をもって終了となり、その後、平成9年(1997年)と、令和元年(2019年)に特別編が公開されました。
映画シリーズ48作の配給総収入は464億3,000万円、観客動員数は7,957万3,000人という大記録をおさめています(「日経ビジネス」昭和44年(1996年)9月2日号)。
映画「男はつらいよ」で寅さんが訪れた温泉地5選!
1. 第3作 男はつらいよ フーテンの寅に登場した「湯の山温泉」
出典:PIXTA
映画あらすじ
お見合いをすることになった寅さんでしたが、その相手は昔なじみの旅館の中居、駒子でした。
駒子が亭主持ちということで大騒動に。その後、家を飛び出した寅さんは、湯の山温泉の旅館の女将である未亡人・お志津に淡い慕情を寄せ、旅館の番頭をすることになったのです。
しかし、お志津には心に決めた人がいることを知らされ失恋してしまいます。
<映画詳細>
・タイトル:男はつらいよ フーテンの寅
・封切り日:昭和45年(1970年)1月15日
・上映時間:90分
・マドンナ:新珠三千代
・映画を観たい方は:Netflix・Hulu
映画の中の湯の山温泉
寅さんの叔父である竜造とつね夫婦が、三重県の「湯の山(ゆのやま)温泉」へ旅行に出かけた際に、旅館「もみじ荘」で番頭をしている寅さんに遭遇します。
現在、湯の山温泉で「もみじ荘」を見ることはできませんが、湯の山温泉では日本一の鉄塔を持つ御在所ロープウエイや大石公園近くの大石橋などのロケ地を巡ることができます。
作品にまつわる新聞や雑誌の記事などを展示している「湯の山ロケ地資料館」もあります。
寅さんが志津の子どもと遊ぶシーン「御在所岳」・「御在所ロープウエイ」
出典:PIXTA
花崗岩(かこうがん)で形成される御在所(ございしょ)岳は、標高1,000mを超えます。
春にはさまざまなツツジ科植物が咲き乱れ、冷涼な夏にはアカトンボが避暑に訪れ、秋は山上、中腹、温泉街エリアと段階的に紅葉に染まります。
冬は、三重県唯一のスキー場として多くのスキー客を迎えます。撮影は、御在所岳とロープウエイの車内で行われました。
<スポット詳細>
・スポット名:御在所山山頂
・住所:三重県三重郡菰野町菰野
志津の弟信夫とその恋人の染奴の恋物語のシーン「大石橋」
出典:PIXTA
四日市の工業発展や港湾整備に尽力した将棋棋士で実業家の小菅剣之助(こすげけんのすけ)氏は、湯の山の景勝保存に関心が高く、昭和11年(1936年)に当時木橋であった「大石橋」が通行には危険だと知ると、コンクリート造りの橋を架けることを発願し翌年の8月に完成させました。
<スポット詳細>
・スポット名:大石橋
・住所:三重県三重郡菰野町菰野
寅さんが信夫と餃子店で喧嘩するシーン「旅館 翠月」
この投稿をInstagramで見る
旅館ではなく餃子店として登場した「和風観光旅館 翠月(すいげつ)」は、木造2階建て全5室のこじんまりとした純和風の旅館でした。
こじんまりとした内風呂で愉しむ温泉と地元食材をふんだんに使った家庭的な料理でほっこりくつろげるとファンの心を惹きつけた旅館でしたが、現在は残念ながら営業を終了しています。
<施設詳細>
・施設名:和風観光旅館 翠月 跡地
・住所:三重県三重郡菰野町菰野8526
作品にまつわる新聞や雑誌の記事などを展示している「湯の山ロケ地資料館」
映画公開50周年を記念し、御在所ロープウエイや湯の山温泉のバス停などのロケ地を撮影した写真20点のほか、作品にまつわる新聞や雑誌の記事などが見られます。
<施設詳細>
・施設名:湯の山ロケ地資料館(湯の山温泉協会内)
・住所:三重郡菰野町菰野8522
・電話番号:059-392-2115(湯の山温泉協会)
・開館時間:午前10時~午後4時(観覧自由)
・休館日:水曜日
・入館料:無料
湯の山温泉とは
出典:PIXTA
三重県北部にある御在所岳の東麓に位置する湯の山温泉には、三滝(みたき)川に沿う渓谷に20軒ほどのホテル、旅館が並んでいます。
養老2年(718年)に発見された古湯で、その昔、傷ついた鹿が湯に浸かって傷を癒したという伝説から「鹿の湯」とも呼ばれます。
泉質は放射能泉で、一般適応症以外に高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎などの効能があります。美肌に良い成分を含む美人の湯としても知られます。
<温泉地詳細>
・温泉名:湯の山温泉(湯の山温泉協会)
・住所:三重県三重郡菰野町菰野8522
・アクセス:
「近鉄名古屋駅」から特急に約30分乗り「近鉄四日市駅」で普通列車に乗り換え約30分で「近鉄湯の山温泉駅」下車。その後バスで8分(終点下車)。
「近鉄大阪難波駅」から「近鉄四日市駅」までは、特急で約120分。
<関連記事>
2. 第18作 男はつらいよ 寅次郎純情詩集に登場した「別所温泉」
出典:PIXTA
映画あらすじ
甥の満男の臨時教師・雅子に有頂天になった寅さんは、家庭訪問を台無しに。妹のさくらたちともめた寅次郎は旅に出て長野県の別所(べっしょ)温泉に辿り着きます。
そこで再会した旅役者の一団にお金もないのに大盤振る舞いし、無銭飲食で警察に捕まってしまいます。
さくらに迎えに来てもらい、「とらや」に戻った寅さんは、今度は雅子の母・綾に恋心を抱き、病弱な綾に会いに屋敷へ通うようになります。
しかし、綾は不二の病で他界、雅子に「母は寅さんに愛されて幸福だった」と聞かされ、しんみりとなった寅さんはまた旅立ちます。
<映画詳細>
・タイトル:男はつらいよ 寅次郎純情詩集
・封切り日:昭和51年(1976年)12月25日
・上映時間:103分
・マドンナ:京マチ子
・映画を観たい方は:Netflix・Hulu
映画の中の別所温泉
寅さんが旅役者の一団と再会し無銭飲食で捕まり、さくらが迎えに来るのが別所温泉です。
寅さんが宿泊し、無銭飲食した宿いずみや「三楽みやげ店」
出典:PIXTA
寅さんが泊まった宿「いずみや」は、天台宗の寺院「北向観音」に続く通りにある土産物屋「三楽みやげ店」です。
<店舗詳細>
・店舗名:三楽みやげ店
・住所:長野県上田市別所温泉1660
・電話番号:0268-38-2077
・営業時間、定休日は電話にてお問い合わせ
寅さんが無銭飲食で捕まり一晩拘留された警察署「別所温泉センター 温泉歴史資料展示室」
「別所温泉センター 温泉歴史資料展示室」は撮影当時、村役場だった場所。別所警察署として利用されました。
現在は、別所温泉の歴史年表や縄文・弥生時代の石器、芭蕉を始めとする歌人俳人の石碑拓本などを展示しています。
<施設詳細>
・施設名:別所温泉センター 温泉歴史資料展示室
・住所:長野県上田市別所温泉1723-1
・電話番号:0268-38-8120
・営業時間:9:00~17:00
・定休日:年末年始
別所温泉とは
出典:AC
別所温泉は、信州最古の温泉といわれる温泉地で、温泉街とその周辺に国宝や重要文化際などの古刹(こさつ)があることから「信州の鎌倉」とも呼ばれます。
泉質は、単純硫黄温泉(低張性アルカリ性高温泉)で、一般適応症以外に浴用で慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病、飲用で糖尿病、痛風、便秘などの効能があります。
<温泉地詳細>
・温泉名:別所温泉(別所温泉観光協会)
・住所:長野県上田市別所温泉1853-3
・アクセス:
「東京駅」から長野新幹線に約1時間15分乗車し「上田駅」で上田電鉄別所線に乗り換えて約30分で「別所温泉駅」着。
「名古屋駅」から中央西線特急に約3時間20分乗車し「長野駅」でしなの鉄道に乗り換え。約30分乗車し「上田駅」で上田電鉄別所線に乗り換え、約30分で「別所温泉駅」着。
<関連記事>
3. 第21作 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆくに登場した「田の原温泉」
出典:PIXTA
映画あらすじ
松竹歌劇団のスター踊り子であるさくらの親友・奈々子にひとめぼれした寅さんは、レビューに通うように。寅さんが熊本の田の原(たのはる)温泉で出会った青年・留吉は上京し、別の踊り子しのぶにアタックするが玉砕してしまいます。
10年の付き合いの恋人・隆がいる奈々子は、一度は結婚よりも踊りを選んだものの隆をあきらめきれず結婚を決めました。
寅さんはさくらに「奈々子が幸せになるならそれでいいが、自分なら踊りをやめさせるようなことはしない」と言い残して旅に出ます。
<映画詳細>
・タイトル:男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく
・封切り日:昭和53年(1978年)8月5日
・上映時間:107分
・マドンナ:木の実ナナ
・映画を観たい方は:Netflix・Hulu
映画の中の田の原温泉
出典:PIXTA
寅さんがかつて逗留したのが田の原温泉。そこで、寅さんが失恋の痛手を慰めてあげた青年が、後に上京してきた留吉です。
寅さんが逗留した温泉宿「田の原温泉 大朗館」
この投稿をInstagramで見る
田の原温泉 大朗(たいろう)館は、田の原川に寄り添うように佇む創業100余年の老舗旅館です。
この投稿をInstagramで見る
11室の客室に対して8つの貸切風呂があるため、ほとんどの湯舟を待ち時間なしで堪能できます。
温泉はどれも100%源泉かけ流し。一番人気の滝風呂では、露天風呂に浸かりながら滝を眺め、ゆったりとした極上の時間が過ごせます。
<施設詳細>
・施設名:田の原温泉 大朗館
・住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺7130
・電話番号:0967-44-0908
・日帰り温泉の利用料:滝風呂60分2,000円、その他60分1,500円、内湯500円(外来入浴での貸切は不可)
・宿泊料:(1室2名利用時、1泊2食付き)14,000円~
田の原温泉とは
田の原川沿いのひなびた温泉地「田の原温泉」は、熊本県の南小国(みなみおぐに)温泉郷の中で最も古い湯治場です。
お湯は奇岩の間から湧出していて、共同浴場もあります。
泉質は、ナトリウム-塩化物・硫酸・炭酸水素塩泉で神経痛、リユーマチ、美肌などに良いとされています。
<温泉地詳細>
・温泉名:田の原温泉
・住所:熊本県阿蘇郡南小国町満願寺田の原
・アクセス
「JR豊肥本線阿蘇駅」から産交バス杖立温泉行きで1時間、「ゆうステーション」で産交バス黒川温泉行きに乗り換えて20分、「田の原」下車すぐ。
「博多駅」からは、黒川温泉行きの産交バスまたは日田バスに乗り約2時間30分、「バイパス田の原」で下車すぐ。