織田信長もこよなく愛した!1000年もの歴史を持つ下呂温泉の伝説を紐解く


更新日:2020年11月13日

儒学者の林羅山によって、有馬と草津と並ぶ「天下の三名泉」として有名になった下呂(げろ)温泉は戦国武将とも深い関わりがあり、織田信長にも愛された温泉です。 そんな1000年以上の歴史をもつ下呂温泉について紐解いていきましょう。歴史を知ることで新たな下呂温泉の魅力を発見できるかもしれませんよ。

白鷺伝説で有名!儒学者林羅山も認めた下呂温泉とは

白鷺(しらさぎ)はもともと薬師如来の化身・お使いとされ、白鷺が源泉の発見に寄与した「白鷺伝説」は7つの温泉場に伝わり、下呂温泉はその内のひとつです。

下呂温泉は江戸時代初期の儒学者である林羅山が、有馬と草津と並ぶ「天下の三名泉」と称したことからその名が知れ渡るようになりました。

下呂温泉の由来

下呂温泉は昭和以降に使われるようになった名称ですが、それ以前は「下留」と書いて「げろ」と呼ばれていました。

下留という名称は、奈良時代にすでに宿駅として存在していました。室町時代に書かれた万里集九の「梅花無尽蔵」には「予在飛之温泉。々々所在、曰益田郡下櫓郷」とありますから、その頃には「げろ」という発音があったと考えられています。

◇「下呂温泉」は昭和以降に使われ始めたもの。それ以前の名前は?

下呂温泉は昭和以降に使われるようになりましたが、昔は下留(しもつとまり、またはしもとまり)と呼ばれていました。

それは飛騨が米の収量が少なかったために「下々(げげ)の国」と呼ばれていたことに由来します。

下留(しもつとまり、またはしもとまり)は、次第に「げる」と呼ばれ、さらに「げろ」と通称化されるようになりました。

◇なぜ「下留」から「下呂」に変わったのか

下留からなぜ「下呂」に変わったのでしょうか?それは「下」はそのままに「呂」だけ温泉の風呂から由来している名称だとされています。

白鷺伝説はどんな伝説?

下呂温泉は千年以上の歴史があるといわれていますが、文永二年(1265年)に湧出が突然止まってしまいました。その翌年、飛騨川の河原に傷ついた一羽の白鷺が舞い降りるのを村人が気づきました。

不思議に思いながら村人がその場所に行ってみると、そこに温泉が湧いていとされています。白鷺はその後、空高く舞い上がり中根山の中腹の松に止まりましたが、その松の下には一体の薬師如来が鎮座していました。

これが下呂に伝わる白鷺伝説であり、温泉寺開創の縁起です。

下呂温泉は戦国武将の隠し湯?歴史的な有名人物との関係も

下呂温泉は戦国時代の有名な織田信長や、武田家の隠し湯だったといわれていますが、戦国武将と温泉との関係も興味深いものがあります。

そもそも戦国武将と温泉との関係とは

戦国時代の武将は、合戦などで怪我をしたり病気になったときに温泉を利用していたと、歴史研究家の渡邉大門氏が「戦国武将と温泉」との関係を説いています。

戦国武将と温泉の関係は意外と深いとされ、戦国時代はそもそも今のように家庭用の風呂などが普及していなかったため、24時間利用できる温泉は貴重でした。

この時代は戦乱の絶えない時代であり、合戦による怪我などを治癒するのに、温泉の成分が効いていたことが分かっていたようです。

◇下呂温泉は織田信長も湯治に出掛けた歴史的名湯

織田信長と下呂温泉との関わりは、「羽渕家家系図」という系譜に書かれていますが、天正6年(1578年)の春に飛騨をほぼ統治下に置いた信長は、下呂温泉に湯治に出掛けています。

戦いの連続だった当時の信長は、下呂温泉で安らぎの時間を過ごしていたことがうかがえます。

◇武田家の「隠し湯」とされていたという歴史も

下呂温泉は、武田信玄の父(信虎)の代からの「隠し湯」としても知られています。上杉謙信との戦いで知られる川中島の合戦の後に、信玄や配下の者たちが温泉に浸かって疲労回復に努めたという逸話もあります。

下呂温泉は歴史的スポットがいっぱい!歴史を学べるスポット2 選

下呂温泉には歴史的スポットが多くありますが、温泉の歴史を学べる「下呂発温泉博物館」と飛騨地方の生活文化が体験できる村として有名な「下呂温泉合掌村」の2つを紹介します。

下呂温泉の雑学を学ぶならココ「下呂発温泉博物館」

下呂発温泉博物館は、温泉を科学と文化の両面から紹介する全国的にもめずらしい温泉専門の博物館としてオープンしました。

館内では、温泉の湧き出すしくみや泉質などを紹介し、歴史から見た温泉や伝説、江戸末期から明治の温泉番付といった興味深い資料も展示されています。

<施設情報>
・住所:岐阜県下呂市湯之島543-2
・電話番号:0576-25-3400
・営業時間: AM9:00~PM5:00

白川郷の合掌造りの民家を再現「下呂温泉合掌村」

下呂温泉合掌村は、白川郷などから移築した10棟の合掌家屋の集落で、下呂温泉でもっとも規模が大きい観光施設です。

村内は、「合掌の里」と「歳時記の森」の2つのゾーンで構成され、飛騨地方の生活文化を体験することができます。

風情ある敷地内を散策しながら、飛騨地方の歴史に触れてみましょう。

<施設情報>
・住所:岐阜県下呂市森2369
・電話番号:0576-25-2239
・営業時間:AM8:30~PM5:00