千と千尋の神隠しの本当のモデルや舞台はどこ?各地に点在する温泉旅館


7. モデルとなった場所が見学できる。東京「江戸東京たてもの園」

提供:江戸東京たてもの園

「江戸東京たてもの園」は、東京都小金井市にある野外博物館。東京都内にあった文化的価値の高い歴史的建造物を移築保存しています。ここでも、千と千尋の神隠しのモデルに関係する場所を見ることができます。

下町通りは、実際に千尋が迷い込んだ街のモデルになっている場所です。

<歴史>

東京の歴史を振り返ると、江戸時代より災害によって多くの貴重な歴史的建造物が失われてきました。現在も社会経済情勢の変化に伴い、こうした文化遺産が消えつつあります。

「江戸東京たてもの園」では、現地保存が困難な歴史的建造物を移築し、文化的価値の継承のために復元や保存、展示をしています。

<建物>

東ゾーン:

提供:江戸東京たてもの園

釜爺のボイラー室のモデルとなった、「武居(たけい)三省堂」。

1927年に千代田区神田須田町に建てられた明治初期創業の文具店です。前面を耐火素材のタイルで覆って装飾した「看板建築」で、屋根の形にも特徴があります。

提供:江戸東京たてもの園

「鍵屋」は、千尋の両親が豚になるシーンのモデルに似ているとファンの間で噂されている建物。台東区下谷の言問(こととい)通りに1856年に建てられた居酒屋で、建物と店内は1970年頃の姿に復元されています。

提供:江戸東京たてもの園

湯婆婆(ゆばーば)の「油屋」のモデルの1つではないかとも推測されている「子宝湯」は、東京の銭湯を代表する建物。

神社仏閣のような大型の唐破風(からはふ)や、玄関上の七福神の彫刻、脱衣所で見られる折上格天井(おりあげごうてんじょう)など、随所に贅を尽くした造りとなっています。1929年に足立区千住元町に建てられました。

センターゾーン:

提供:江戸東京たてもの園

明治から昭和の初めにかけて日本の政治を担い、財政を立て直した高橋是清(これきよ)の「高橋是清邸」の主屋部分は、逃げ帰る白龍(はく)が飛び込んできたシーンと似た窓があるので作者が参考にしたのではないかという説もあります。

総栂普請(そうつがぶしん)で、洋間の床は寄木張り。2階の部屋は、1936年の2・26事件の現場になった場所です。

提供:江戸東京たてもの園

「都電7500形」は、千尋がカオナシと一緒に乗った電車を思わせると、ファンも訪れます。1962年に製造され、渋谷駅前から新橋や神田方面を実際に走行していた路面電車です。

参考:江戸東京たてもの園HP

8. 豪華絢爛なロビーの吹き抜けに油屋を感じる、栃木・鬼怒川温泉「あさやホテル」

 

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栃木県の日光市にある「あさやホテル」は、みんなで選ぶ温泉大賞の温泉番付、旅館ホテル部門において第10回から3年連続で「東の横綱」1位に選ばれている人気の温泉宿です。

豪華絢爛な館内の大きな吹き抜けは、まるで「油屋」のよう。部屋のベランダから外を眺めれば、饅頭を頬張りながら遠くを見る千尋の気分に浸れます。

<歴史>

創業130年の「あさやホテル」は、栃木県の「鬼怒川(きぬがわ)温泉」で最も歴史がある宿です。

東京の奥座敷と呼ばれる鬼怒川温泉は元禄時代に発見された名湯で、かつて日光を訪れていた大名や僧侶だけが利用を許された格式の高い場所。山紫水明の地で、湯治効用も高いといわれる温泉が豊富に湧き、身体を癒してくれます。

鬼怒川温泉周辺は旅館だけでなく飲食店や土産物屋なども充実していて温泉情緒がある街となっています。

<建物>

「あさやホテル」は、斜面に沿って建てられているため、宿の外観からはそこまでの大きさは感じられないものの、内部に入ると、目の前に広がる絢爛豪華な内装と大きな吹き抜け空間に圧倒されます。

<温泉>

鬼怒川温泉の中で最も高い場所にある「空中庭園露天風呂」は、自然豊かな山並みや満天の星空が望める絶景風呂。

大浴場の男湯は、内湯の他に半露天と座湯があり、女湯は、内湯の他に寝湯、ナノミストサウナとシルキー風呂が備わっています。

自家源泉のアルカリ性単純温泉で、効能は五十肩・関節のこわばり・慢性消化器病・痔疾など。客室全てに温泉を引いているので、好きな時間に好きなだけ温泉に浸かることができます。

参考:あさやホテルHP

【おまけ①】福井県の「みかた温泉きららの湯」は、千と千尋の油屋をモデルに建てられた

 

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「みかた温泉きららの湯」は、福井県三方上中(みかたかみなか)郡若狭町にある日帰り入浴施設。「千と千尋の神隠し」の油屋をモデルに建てられた、ノスタルジックな雰囲気が漂う純和風の温泉施設です。

<温泉>

縄文時代の丸木舟を再現した足湯や、木の香りに癒される露天風呂や石湯などがある「縄文の湯」、立派な露天の岩風呂や和風塩サウナがある「虹の湯」など種類豊富の風呂が楽しめます。

泉質はナトリウム-塩化物強塩泉で、神経痛・関節痛・慢性消化器病・慢性皮膚病・虚弱体質などの効能があります。

参考:みかた温泉きららの湯HP

【おまけ②】群馬県の草津温泉には音のロケ地が!「ホテルヴィレッジ」・「清重館

「千と千尋の神隠し」の映画のエンドロールには、実は、群馬県の草津温泉にある「ホテルヴィレッジ」と「清重館」の2軒の旅館の名前が協力者として登場します。

なぜ登場するかと言うと、「音」のロケ地としての協力をしたから。それぞれの旅館のお風呂の温泉の音が映画で使われているのです。

さて、どのシーンのどんな音なのか、実際に旅館に行って、映画の音と比べて確認してみてはいかがでしょうか?

参考:ホテルヴィレッジHP
参考:清重館HP

千と千尋の神隠しのモデルを発見しに温泉地巡りをしよう

出典:写真AC

千と千尋の神隠しのモデルとなった温泉旅館だと噂される建物は複数あります。しかし、肝心の宮崎駿監督は「特定のモデルはない」と公言していて、いくつかの場所をヒントに舞台が作られたと考えられます。

噂になる温泉旅館は実際に行ってみると映画の世界観を感じることができるものばかりです。「もしかしてここじゃないの?」と思いながら温泉を楽しむのもいいですね。

本当のモデルは作者である宮崎駿監督のみが知り得るところですが、実際に足を運べば証拠となるかもしれない発見が待ち受けているかもしれません。